土のふしぎ
畑仕事で感染しない
新聞の記事で興味深いのを見つけました。
新型コロナウィルスの感染予防対策として
まめでっぽうも活動を自粛してきました。
しかし、普段の活動で
土に触れる機会が多いまめでっぽう
大人も子供も
ストレス取れ免疫アップ
間違いなしですね^^
全文紹介
せっかくなので、全文コチラに記載します。
お時間のあるときにどうぞ。
「土のふしぎ」
森林総合研究所主任研究員 藤井 一至
連日の新型コロナウィルスのニュースにうんざりしている方も多いと思います。差し迫る恐怖を前にして、専門家ですらウィルスを完全に解明できていないことを知って焦り、PCRや宿主のような専門用語に翻弄され、真偽のないまぜになった情報が混乱を増幅させています。今回は土とヒトとウィルスについて考えてみましょう。
そもそも、ウィルスとは何なのでしょうか。ヒトのものよりずいぶん短い遺伝子1本がタンパク質の殻や膜に包まれただけの単純な構造をしています。細菌と混同されがちですが、ウィルス単独では増殖できないために、狭義の生物に当てはまらない微粒子です。しかし、感染相手に侵入できれば細胞を乗っとり大増殖することもできるという厄介な代物です。謎の多いウィルスは研究対象として扱いにくく、感染症を引き起こすまで未解明というのが実態です。
自然界の中でも、土は最もウィルスが多い場所の一つです。土には1グラムに50億個もの細菌が存在し、10個に1個はウィルスに感染しています。土はウィルスの巣窟です。私たちヒトの身体も負けてはいません。腸内には土と同じくらいの密度で細菌は存在し、腸内細菌のウィルス感染率は土の10倍です。エイズウィルスやノロウィルスのような有害なものはごく一部で、多くは私たちにとって無害かあるいは有益といわれます。多様な腸内細菌が食べ物の消化を助けてくれるように、ヒトは微生物だけでなくウィルスとの共生体でもあるのです。
とはいえ、ウィルスは怖いものです。ヒトと感染症の歴史は長く、ヒトの遺伝子には10%のウィルス由来の遺伝子が組み込まれています。内在性レトロウィルスと呼ばれ、かつて感染し、乗り越えたウィルスの一部が遺伝子として記録されたといわれます。はっきり分かっているレトロウィルス以外にもウィルス由来の遺伝子が含まれており、私たちのヒト遺伝子の半分を占めています。機能の多くは未だに不明ですが、他の病気への抵抗性を高めてくれる遺伝子もあります。
ヒトのルーツをたどれば、今から一億年前、哺乳類の祖先はウィルスに感染したことで胎盤という仕組みを獲得し、有胎盤類が誕生しました。ウィルス感染が生命進化の原動力となってきました。ウィルスには敵も味方もいるのです。
700万年前までアフリカの熱帯林で暮らしていたサルの一部が人類となりました。人類は暮らしの場を草原へ移し、現在は都市や農村で暮らしています。ところが、ヒト遺伝子に存在するウィルスの起源を調べた研究では、多くが森や草原ではなく5億年前の海中で脊椎動物の祖先が獲得したものでした。38億年に及ぶ長い生命の歴史から見れば、森や草原、都市や農村で暮らした時間は短く、新参者として未知のウィルスをまだまだ克服していかないといけないのが私たちの現状です。
都市の発展によって、私たちは土から離れた清潔な生活を送れるようになりました。しかし、土の中の粘土にはウィルスを吸着し、活性を失わせる力があります。土が少なく、人が多い都市は感染症に脆弱になっているのです。
では、畑仕事で触れる土は大丈夫なのでしょうか。土に触れてもウィルスに感染することはありません。ウィルスは感染相手が決まっていて、土のウィルスの感染相手は微生物や植物です。また、土の中には多くのウィルスが存在しますが、一つ一つのウィルスは低密度です。土の中では、一つのウィルスだけがむやみに増殖しないよう、多数の生物やウィルスが競合し、制御されています。土を触った手を洗うことは必要ですが、土との触れ合いにはストレスを取り、免疫を高める効果があることが分かっています。人と人の距離を取るようにいわれていますが、人と土との距離はもっと近くても良いのではないでしょうか。